2014 AUTOBACS SUPER GT Round8
「MOTEGI GT 250km RACE」 REPORT
4月に開幕したスーパーGT2014シーズンは、7ヶ月にわたる激闘を経て最終戦を迎えた。ニューマシンの圧倒的な速さに注目が集まる今季、その中でも常にトップクラスの走りを見せてきた46号車「S-Road MOLA GT-R」だったが、まだ美酒を味わうことはかなわなかった。
だがハンデが一掃されるこの最終戦でも、46号車が優勝候補であることを疑う者は誰もいない。それは絶対的な速さを持つマシンと実績のあるチーム、ドライバーによる強力布陣を考えれば当然のことだった。
46号車は一年間応援してくれたファンのためにラストチャンスをものにしようと最終戦の舞台、栃木県のツインリンクもてぎに乗り込んだ。
11月15日(土)天候:晴れ 路面:ドライ 気温:15℃ 路面温度:23℃(予選開始時)
■公式練習結果:3位 ベストタイム1’38.987(柳田)
■公式予選結果:2位 Q2タイム1’38.592(本山)
前日の公式テストでまずまずの感触を手にした46号車は、この日朝9時から行われた公式練習でも順調だった。
本山哲がドライブした前半から、ベストタイムは常にトップ5を維持。そして終盤の予選アタックシミュレーションで柳田真孝がマークした1’38.987が最終的に3位となり、午後の予選での2戦連続ポール獲得の可能性を示した。
46号車だけでなくGT-R勢、そしてミシュランタイヤ勢が軒並み活躍を見せたことも、今回の相性の良さを示すものだった。
午後1時45分、GT300クラスに続きGT500クラスのQ1が15分間でスタート。46号車は柳田がアタックを担当した。
このセッションではどのマシンもタイヤパフォーマンスが最も発揮できる1周、もしくは2周のアタックで勝負。開始からまずは全マシンがピットでウェイト、5分過ぎから動き始める。
46号車は7分経過したあたりでコースに向かった。各マシンがアタックに入ろうとしたタイミングでセッションが赤旗中断という予想外の展開となったが、柳田は集中力を切らすことなく再開後アタックに挑み、2周目にマークした1’39.258でトップに躍り出ると、そのまま堂々のトップ通過を果たした。
約30分のインターバルを挟み、12分間のGT500クラスQ2が開始された。2戦連続ポールをかけたアタックに挑む46号車のアタッカーは本山。
46号車は5分が経過したあたりでコースイン。Q1よりコースコンディションが上向いたことで38秒台のトップ争いとなる中、1周のウォームアップの後アタックに入った本山のファーストアタックは、1’38.653をマークしトップ浮上を果たす。そして次の周回もアタックを敢行し1’38.592とさらにタイムを伸ばすが、ポール奪取はならず2位で予選を終えた。
だが今季4度目のフロントロー獲得は、決勝での優勝の可能性を充分に繋ぐものだった。
■本山哲のコメント
「今回もポールを狙える速さがあったし、もてぎが抜きにくいサーキットということもあるので、結果的にポールを逃してしまったことは残念です。
でもクルマもタイヤもとても状態が良く、ロングランでも優勝争いができるという確かな手ごたえがありました。
レースは、速さがありながらも優勝にたどり着けなかったここまで7戦分のうっぷんが晴らせるようなレースをして、笑顔でシーズンを締めくくりたいと思います。」
11月16日(日)天候:晴れ 路面:ドライ 気温:16℃ 路面温度:23℃(決勝開始時)
■フリー走行結果:6位 1’40.987(柳田)
■決勝結果:5位(53周)1h33’35.159(柳田Dr→本山Dr)
前日と同様この日も絶好のドライコンディションとなり、サーキットには多くのファンが来場。ラストバトルにふさわしい舞台は整った。タイトルを争うマシンと、今季の初勝利を狙うマシンそれぞれの戦略が絡む激しいバトルの応酬となることが予想された。
午後1時、交通安全啓発キャンペーンの一環としてパトカー先導によるパレードランが行われた後、ペースカーが引き継ぐかたちでフォーメーションラップが開始。そして2周を消化した後に戦いの火蓋が切られてからは予想通り激しいレースが繰り広げられた。
オープニングラップから早くも数台が接触、そんな中、上位3台は無難にスタートを決める。46号車のスタートドライバー柳田は序盤、トップに約1秒差で2位をキープし反撃のチャンスを待った。接触やペナルティで順位は後退するものの23周目にルーティンのピットインを終え、順位挽回を本山に託した。
最終戦は250kmという通常より短い距離のレースとなるためタイヤ無交換、もしくは2本交換で順位浮上を狙う作戦が例年見られる。ピットロードで失った順位を挽回するために、この作戦は46号車にとっても有効だと思われた。しかし46号車は4本交換の直球勝負を選択。あとは本山の走りだけが頼みの綱となった。
7位でコースに復帰した46号車は、接触の影響をやや残してはいたもののマシンそのものは好調だった。そして本山の猛プッシュにより35周目に6位のマシンに追いつくと、すぐさまオーバーテイクを成功させる。しかしながら次の5位へはこの時点で12秒差があり、挽回もここまでかと誰もが思った。
だが、本山は手綱を決して緩めることなく、プッシュし続けた。43周目にその差を10秒以内とすると45周目には4秒差、46周目に2秒差、47周目にとうとう追いつくと瞬く間に鮮やかなオーバーテイクを見せる。
優勝はかなわず5位フィニッシュに終わったが、最後の舞台で今季の46号車らしい、光る走りをファンの記憶に残した。
■本山哲のコメント
「タイヤ2本交換や無交換で順位を挽回する方法も考えましたが、やはり正攻法で行くことに。そしてマシンには前半の接触のダメージがあったものの、プッシュすればなんとか速く走ることができたので諦めず走り続け、なんとか5位まで挽回することができました。
最後も皆さんの期待に応えられず、申し訳ありません。
思えば今シーズンはずっと、トップクラスの速さがありながらそれを結果に繋げることができませんでした。でもシーズンを通して常にマシンに速さがあった中で戦えたという意味では、いいシーズンだったと思います。
悔しい思いは一杯有りますが、この気持ちを来シーズンの結果に繋げられるようにシーズンオフを大切に過ごします。
ファンの皆さん、そしてサポートして頂いている多くの方々に、一年間最後まで応援していただき有難うございました!」
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