2014 AUTOBACS SUPER GT Round7
「BURIRAM UNITED SUPER GT RACE」 REPORT
国内を主に転戦するスーパーGTシリーズだが、年に一度、海外のサーキットでバトルを繰り広げるのが通例となっている。今季は昨年までのマレーシアから舞台を初開催の地となるタイに移し、シーズンセミファイナルにあたる第7戦として開催。
新たに竣工されたチャーン・インターナショナル・サーキットには、練習走行が行われた金曜日から3日間で13万人を超えるファンがつめかけた。
タイラウンド最初の覇者という歴史に残る名誉を手にするのは果たしてどのチームなのか……どんなサーキットでもオールラウンドで高いパフォーマンスを見せてきたGT-Rと暑さに強いミシュランタイヤを擁し、さらに比較的ウェイトハンデも軽い46号車「S-Road MOLA GT-R」はその筆頭候補に挙げられていた。
【予選】10月4日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ 気温:33℃ 路面温度:48℃(予選開始時)
■公式練習結果:10位 ベストタイム1’26.697(本山)
■公式予選結果:1位 Q2タイム1’24.704(本山)
通常のシリーズ戦とは違い、今回は新サーキットが舞台ということで金曜日の午後、2時間の練習走行が行われた。このセッションでは走り始めからGT-R勢は好調で、4台が入れ替わりでタイミングモニターの上位を独占。そして最終的に本山哲が終盤にマークした1’26.298がこのセッションでのトップタイムとなり、46号車は順調に滑り出した。
土曜日の午前10時から行われた公式練習では、46号車は序盤から順調にセットアップを詰めて行ったものの、終盤にマシントラブルに見舞われストップ。午後の予選に向け一抹の不安を残すこととなった。
公式予選は午後3時から開始。GT300クラスのQ1に続き、3時15分からGT500クラスのQ1が始まった。46号車は柳田がQ1のアタックを担当。心配されたトラブルはインターバルの間に解消、チームがマシンをベストコンディションに仕上げ柳田は好タイムをマーク。1’25.125で2番手につけQ2進出を決めた。
Q1終了からGT300クラスのQ2を挟み、GT500クラスのQ2がスタートした。46号車は本山がアタックに挑んだ。GT-R勢が全体的にリードしていた感があったQ1から一転、Q2では3メーカーが入り乱れる激しい攻防が繰り広げられた。
そんな中、主役に躍り出たのが46号車の本山だった。本山はベテランらしくクールにセッションに臨むと、2周のウォームアップ周回から着実にタイムを削っていき、アタックラップ3周目に1’24.704という好タイムをマークしトップに浮上。
自身6度目、チームにとっては今季初、そしてタイラウンド最初のポールシッターという栄誉を手にした。
●本山 哲のコメント
「記念すべき一戦でポールを獲ることができて嬉しいです。Q1の柳田の走りでクルマのポテンシャルは分かっていたし、比較的イージーにポールが獲れた気がします。
ここまで不運なトラブルやハプニングで結果が残せていないので、チームにとっても励みになったと思います。新しいコースは最初、フラットで単調なコースだと思っていましたが、実際に走ってみると路面もグリップするしバンクもあって、コーナリングスピードも高い。大好きなサーキットになりました(笑)。
決勝は、このサーキットでの記念すべき初レース。チーム全員で頑張ってスーパーGTの面白さをサーキットに来てくれたファンの皆さんにお見せしつつ、今季初優勝を狙います!」
【決勝】10月5日(日) 天候:曇り 路面:ドライ 気温:34℃ 路面温度:52℃(決勝開始時)
■フリー走行結果:7位 1’26.486(本山)
■決勝結果:13位(49周)1h13’49.331(本山Dr→柳田Dr)
前日に比べると少し雲が多いものの気温は高く、決勝が行われた日曜日も好天で明けた。この日はまず、午前9時50分から30分間に渡りフリー走行が行われた。
本山と柳田、2人のベテランがドライブする46号車は、本番に向けてのファインセットを確認しつつ周回。66周の決勝本番を見越してのチェックをメインに走行を重ね、確かな手応えをチームの誰もが感じ取った。
今回は通常の300kmレース。前半を担当する本山がポールからスタートしポジションをキープしたまま柳田に繋いでそのまま逃げ切る……46号車はそんなシナリオを描いていた。そして午後3時にフォーメーションラップがスタート。
1周の周回の後グリーンランプが点灯すると、本山は好ダッシュを見せ1コーナーへと向かっていった。
序盤は2番手のマシンが背後につき一進一退のマッチレースが繰り広げられることになった。そして46号車はシナリオどおりに独走態勢を築きはじめた。
レースは折り返しを過ぎ、37周目を終えトップでピットイン。タイヤ交換と燃料補給、そして柳田に交替するルーティンワークを素早く済ませると、46号車は猛ダッシュでピットを後にする。
ところが、タイヤ無交換作戦を敢行したマシンに先行を許し46号車はここで2位に一時後退することになるが、この日の46号車のパフォーマンスの前にはこの奇策も効果がなかった。
状況を把握した柳田は改めてペースアップすると、44周目の2コーナー先で一気にパス。トップに返り咲く。
これで46号車の優勝は誰の目にも、確実に映った。だが、48周目の最終コーナーを立ち上がったところで思わぬハプニングが発生してしまう。46号車の加速が突如鈍り、後続にパスされてしまったのだ。
その後もペースは戻ることなく、1周を回った後に46号車はピットインを余儀なくされた。久々の優勝に手がかかっていた会心のレースはトラブルにより49周でリタイヤ、思わぬ不運な幕切れを迎えてしまった。
●本山 哲のコメント
「自分が担当した前半スティントはトラブルの兆候もなく、クルマのパフォーマンスは最高でした。トップを快走して、そのまま柳田に繋ぐことができたので、今日はもう楽勝だと思っていたのですが、それだけにこの結果には悔しさもひとしおです。
でも、これもレース。チームは毎戦、良いマシンに仕上げてくれてるし、スタッフの為にも、応援してくれている全ての皆さんの思いにこたえる為にもとにかく優勝を決めたいです。
新サーキットでもマシンのポテンシャルは確認できたのだし、最後のもてぎではこの速さを必ず結果に結びつけてみせます。皆さん、最終戦も応援よろしくお願いします!」
motoyama.net