S-GT RD3レポート
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2014 AUTOBACS SUPER GT Round3
「SUPER GT IN KYUSHU 300km RACE」 REPORT
これまで秋に開催され、最終戦を前にタイトル争いを左右する重要な1戦と位置づけられてきたオートポリス・ラウンドだが、今年は序盤戦にあたる第3戦として開催。
九州地区では年に1度のハイスピードバトルを見ようと、二日間合わせて38,200人のファンが新緑のマウンテン・サーキットにつめかけた。開幕戦、第2戦と速さを見せながらも結果的には戦略やトラブルなどで悔しい想いをしてきた46号車「S-Road MOLA GT-R」にとっては今回が三度目の正直。今度こそ本来の速さを結果に結びつけなければならないという、正念場の戦いとなった。
【公式予選】
5月31日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ 気温:28℃ 路面温度:40℃(予選開始時)
■公式練習結果:6位 ベストタイム1’36.774(柳田)
■公式予選結果:2位 Q2タイム1’34.792(本山)
雲ひとつなく晴れ上がった青空の下、午前9時から公式練習が始まった。セッション開始時点で気温は24℃、路面温度は早くも31℃にまで上昇している。今回のオートポリスと次回のSUGOに関しては、予想よりも速くなりすぎたニューマシンの安全対策として、富士仕様のエアロパッケージを使用することが急遽決定された。
公式予選が午後2時にスタートした。気温と路面温度はさらに上昇しミシュランタイヤにとって好条件がさらに揃った。予選は46号車と同じくGT-Rとミシュランのパッケージである23号車との一騎打ちとなった。
Q1に出走した柳田は2周をかけてタイヤを充分に温めると3周目にアタック。ただ一人1分34秒台に入れる韋駄天ぶりで楽々とQ1を突破する。ちなみに従来のレコードタイムは1’38.174で、出走したほとんどのマシンがこれを更新したが、柳田のタイムはさらに圧倒的だった。
その後、赤旗が提示されセッションは中断。残り時間3分で再開されたが、その時に柳田はもうピットでエンジニアにマシンとコースのインフォメーションを伝えるほどの余裕ぶりだった。
Q1終了から約30分のインターバルをはさみ、Q2が開始された。路面温度は40℃とQ1の開始時とかわらず、同様にミシュランタイヤのパフォーマンスが猛威をふるうこととなった。Q2のセッションは12分間だが各マシン、いつものようにスタートから約5分間はピットで待機し、残り7分となったところで一斉にコースインし、アタックが開始。
2周をかけて念入りにタイヤを温めた本山は3周目にアタックをかけ、柳田のタイムを上回る1'34.792をマークする。だがQ2では23号車にほんの一歩及ばず。それでも前回の富士に続いて2戦連続でフロントローを確保すると、今季初優勝の期待を抱かせた。
■本山哲のコメント
「クルマもタイヤも状態は良かった。想定より温度域が高かったけど、グリップは最後まで安定していましたね。今回は富士仕様のエアロパッケージで走ることになりましたが、確かにダウンフォースが少ない分、クルマの動きも少しデリケートになりました。でもそんな状況でもバランスは良く、特に神経質になることもありませんでした。 予選で走ったタイヤは、決勝を見越してチョイスしたもの。マネージメントする必要はあるものの、ライバルに対してはアドバンテージがあると思っています。もちろん優勝目指して頑張ります。期待していて下さい!」
【決勝】
6月1日(日) 天候:曇り 路面:ドライ 気温:28℃ 路面温度:43℃(決勝開始時)
■フリー走行結果:4位 1’38.261(本山)
■決勝結果:2位(65周)1h58’51.855(本山Dr→柳田Dr)
やや薄い雲が広がってはいたものの前日と同様、この日のオートポリスは好天。朝一番のサポートレースが終わると、午前9時から30分間のフリー走行が行われた。本山と柳田、2人のベテランがドライブする46号車は、本番に向けてのファインセットを確認しつつ周回。ベストタイムは4番手だったが、そのタイムも本山が計測3周目にあっさりとマークしたもので、本来のスピードはまだまだ余裕があることを思わせた。
気温28℃は前日の公式予選開始時と同じだが、路面温度はさらに上昇し43℃。タフな展開が予想される中、午後2時に決勝のフォーメーションラップがスタートした。2番グリッドの46号車は、本山がスタートドライバー。本山は順当にスタートを切るとトップの23号車に続き、3位以下に対し序盤からギャップを築き始めた。
10周を終えた時点で、トップ2台は3位に10秒以上の差。決勝も予選と同じく23号車と46号車とのマッチレースとなり、ピットで見守るチームスタッフは息つく暇もないほどの緊張感を強いられた。そして緊張感がマックスに達した28周目、GT300と絡む混戦の中トップの23号車に後方から軽く接触してしまう。幸い両車に大きなダメージは無かったが、46号車はフロント左側に少しダメージを負うことに。
そしてタイムを大きく落とすことなく、46号車は、30周を終えたところでピットイン。本山から柳田へとバトンが渡され、給油とタイヤ交換、さらにヘッドライト部分の補修を行いコースへと戻る。 次の周に23号車がピットイン。ドライバー交替と給油、タイヤ交換のルーティンワーク終えコースへ復帰。しかし両車の間隔はピットイン前に比べ少し広がることとなった。
その後もGT-Rのトップ2台は快調にラップを消化。ところがレース終盤の49周目、1コーナーでGT300のマシンがコースアウトし大きなクラッシュ。さらにマシントラブルによってストップしたマシンが出たためレースは赤旗中断。セーフティカースタートの後、トップとの差がなくなるかたちとなり残り9周で再開された。
しかし23号車がリスタートで上手くダッシュを決め46号車にとっては決め手を欠く展開となってしまう。それでも柳田は最後までプッシュし続けファイナルラップを迎えた。チームと本山自身にとっては今季初の2位表彰台をゲット。速さを証明する結果を出したとともに、日産GT-Rが1-2-3位、表彰台を独占。チーム内に笑顔が弾けるエンディングとなった。
■本山哲のコメント
「想定していたよりも少し路面温度が高くなり、クルマとタイヤのマネージメントが重要なレースとなりました。そんな中、展開としては中盤からプッシュして追いついて行くというのは予定通りで、タイヤも良いパフォーマンスで応えてくれました。 ただ、GT300のトラフィックにつかまって23号車と接触したのは予定外でした。優勝できなかったのは悔しいですが、速さを見せることができたし、何より久々の表彰台で、チームにとっては嬉しい週末になりました。 もちろん僕にとっても、MOLAに移籍して初めての表彰台で、今日は素直に喜びたいですね。
今回もサーキットに来てくれたファンの皆さんの声援がとても励みになりました、いつも応援有難うございます!
次回のSUGOは5月のテストでも調子が良かったし、個人的にも得意なコース。次こそは、という気持ちでいっぱいです。次戦も応援よろしくお願いします!」
motoyama.net