S-GT RD6 富士300kmレース レポート
スーパーGT2012シリーズは、いよいよ残り3戦。第6戦を富士スピードウェイで迎えた。23号車「MOTUL AUTECH GT-R」はここまで表彰台が一度のみだが、ランキングではトップに17ポイント差。安定した速さが、タイトル戦線になんとか踏み留まらせている。しかし、ここから先はそうはいかない。タイトル獲得への生き残りをかけ、この富士に必勝を期すチームは23号車だけではない。そういった思惑が交錯し戦いがより激しさを増していく中、結果を出していかなければならない。しかし自らのポテンシャルに対し、23号車の自信が揺らぐことはなかった。残り3戦、自分たちの戦いをすれば逆転タイトルは可能だということを信じ、チームは富士に乗り込んだ。
【予 選】
9月8日(土)天候:晴れ 路面:ドライ 気温:27℃ 路面温度:36℃(予選開始時)
猛暑はやや和らぎ、この日の富士は心地よい青空に包まれた。ノックアウト方式で争われる公式予選は午後2時、ドライコンディションでスタートした。午前中のフリー走行ではトラブルに見舞われることなくしっかりと周回数をこなしセッティングを煮詰めていったものの、走りだしのセットは上手く合わずベストタイムは12位。
見た目には不安が残る結果となったが、予選が始まると23号車は本来の力を取り戻し始める。トヨタ勢有利が定説の富士だが、昨年の23号車の優勝をはじめGT-R勢もまた、ここのところ富士では目覚ましい活躍を見せている。第6戦の予選はそのデータ通り、2メーカーによるマッチレースの様相を見せた。
15分間で争われる予選Q1では、本山が出走。状況を読み序盤は動かず、7分を経過したあたりでコースイン。2周目に満を持してアタック開始、セクター1でベストを塗り替えた23号車に注目が集まった。本山はこの1アタックで1’33.898をマークし、23号車をQ2進出に導いた。
Q2ではミハエル・クルムがアタックに挑み、4位で順当に最終セッションに駒を進めると、第6戦のグリッドを決めるQ3は、本山の走りに委ねられた。
10分間で争われるQ3セッション、本山はQ1と同じ手順で、コースインしてから2周目にアタックを敢行。ここで1’33.915をマークする。この時点で5位だった23号車はもう1周アタックに挑み、1’33.893とわずかながらベストタイムを更新するが、2台がさらにこれを上回り、結局23号車は第6戦の予選を7 位で終えることとなった。
23号車にとって7番グリッドは今季最も後ろのグリッドとなるが、追い抜きのしやすい富士では大きなハンデとはならない。決勝でトップチェッカーを受けるためには、マシンのパフォーマンスとベテランドライバー二人の技術、チーム戦略、ピットワークと、23号車のもつ全ての力がレース中に発揮されることの方が、はるかに重要となるはずだ。
●本山 哲のコメント
「第4戦を除き着実にポイントを重ねてきたことで、チャンスはまだ残っています。もちろん、ここから反撃するためのチームのポテンシャルも充分あると思います。
午前中の走りだしでは思いのほか調子が悪かったのですが、午後に向けマシンの状態も良くなっていきました。レースは7位からのスタートになりましたが、スタートからチェッカーまでチーム一丸となって、表彰台、そして優勝の位置まで追い上げて行くつもりです。」
【決 勝】
9月9日(日)天候:晴れ 路面:ドライ 気温:29℃ 路面温度:44℃(決勝開始時)
23号車「MOTUL AUTECH GT-R」はこの日、7番グリッドからのスタートとなったが、残り3戦でこの差を逆転するためには、この位置から優勝争いにからんでいくことが必須条件となる。今回は走りだしから好調というわけではなかったが、セッションを重ねるたびにマシンは進化を続け、決勝に向け徐々にチームの自信は高まっていった。
この日の富士は予想に反し、晴天となった。ドライコンディションでの実力勝負は、23号車にとって理想の展開。ファンの期待は、いっそう高まることとなった。朝のフリー走行で決勝に向けての最終チェックを済ませると、23号車は決勝スタートの時を待った。
午後2時、定刻通りに決勝がスタート。今回のスタートドライバーはミハエル・クルム。オープニングラップで順位を一つ落とし、序盤は8位を走行するが、7周目に7位にポジションを戻すと、このあたりからペースを上げ反撃を開始する。翌周には6位、さらにその後5位へと浮上を続けた。その後しばらくは5位キープの展開が続くが、28周目には4位に浮上。クルムは前半のスティントで既に表彰台までもう一歩のところまで詰め寄り、後半の本山哲の走りに望みを繋げた。
そして29周目に23号車はピットイン。ここでチームは全チーム中最速となる29秒のピットストップで本山を送り出すが、アウトラップは5位でコースに復帰。4位を取り戻すべく、タイヤがまだ温まり切っていないマシンに対し本山は猛追を始める。ところがここで、無情にも23号車に10秒間のピットストップペナルティが下された。前半スティントのインラップで、黄旗掲示区間で追い越しを行ったという裁定であった。追い上げ体制に入っていた23号だったがこれで、一気にポイント圏外の12位へと後退を余儀なくされた。
残る周回は約20周。上位入賞への道を閉ざされかかったものの、本山の集中力が途切れることはなかった。ペナルティを消化しコースに復帰した時点で12位、ポイント獲得圏内までの差は約10秒。ここから本山はじわじわとペースを上げ、着実に前との差を詰めていった。
そして59周に11位に浮上すると、残り2周となったところでポイント圏内の10位に到達、最後まで諦めずさらに上のポジションを狙う。
しかしこのペースアップが招いた結果なのか・・・最終ラップではガス欠状態となりチェッカーを目前にして急速にペースが落ちると、後続に再びポジションを奪われ無念の11位でチェッカーを迎えることとなった。
この結果、23号車のタイトルの可能性は非常に厳しい状況となった。しかしチームのモチベーションが変わることはない。残る2戦もこれまでと同様に、それぞれの戦いでひたすら最高の結果を目指し一丸となって戦い抜くだけだ。
●本山 哲のコメント
「マシンの状態は予選の走りだしから比べると随分良くなっていて、追い上げていける感触をもってレースに挑んだのですが、思っていたほど速いペースで走ることができませんでした。
ファンの皆さんの期待に応えることが出来ずに残念でなりません。
今回ノーポイントに終わってしまったのでタイトルは厳しくなりましたが、まずはこのレースをよく分析し、マシンや戦略を妥協無く見直し次のレースで確実に勝てるようにチームの総力をあげて準備します。
昨年のように残り2戦を連勝で締めくくれるように、勝つ事だけを目標に次戦オートポリスへ挑みます。ご声援よろしくお願いします!」