S-GT RD5 POKKA 1000km レースレポート
スーパーGT2012シリーズは後半戦に突入。第5戦を鈴鹿サーキットで迎えた。前戦では速さを見せるもスタート直後の不運なアクシデントにより結果を残せず、7位と不本意なランキングでシーズンを折り返した23号車「MOTUL AUTECH GT-R」。
だが、目標のタイトル奪回に“まだ間に合う”と言えるのはここまで。第5戦は、必ず大量ポイントを獲得しなければならないという、プレッシャーに晒される戦いとなった。
【予選】
8月18日(土)天候:晴れ 路面:ドライ 気温:32℃ 路面温度:44℃(予選開始時)
鈴鹿の第5戦は毎回猛暑の中の過酷な戦いであるが、今回は更にレース距離が1000kmと従来に戻りその度合いを増している。しかし23号車はこれを、本来のチーム力が最も活かされる戦いであり、初優勝の大きなチャンスであると捉えていた。
7月の鈴鹿でのテストで得たデータをもとに施したアップデートのポテンシャルも、前戦のSUGOで証明済み。ウエイトハンデもまだ軽く、体制は万全だといえた。
予想通りの猛暑で明けたこの日はまず、9時20分から1時間40分の混走と10分間の専有走行による公式練習が行われた。23号車は本山哲とミハエル・クルム、二人のドライバーのドライブにより、淡々とセットアップメニューをこなしていく。
そして専有走行では本山が、トップからコンマ3秒差となる1’53.269のベストタイムをマーク。午後の公式予選に向け、好スタートを切った。
今回の予選はノックアウト方式。雲の量が増しやや猛暑が和らいでいく中、午後2時15分よりQ1が開始された。23号車は本山がコースイン。アウトラップを終えると、1周目のアタックに向かう。ところがここで赤旗が掲示。勝負は赤旗明けの、残り3分での1アタックに委ねられた。
セッションが再開されると、一斉に全マシンがコースになだれ込む。この時ピット位置が一番奥である23号車はQ1終了のチェッカーが振られるまでにアタックに入れるかどうか微妙なタイミングだったが、なんとか1’53.048をマーク。難しい状況の中、5位で23号車のQ2進出を決めた。
Q2ではクルムが、10分間のセッション=2周しかないアタックチャンスをミスなくまとめ、5位で23号車を最終予選へと導いた。Q3のアタッカーは再び本山。まず1周目を1’58.718で通過すると、本番のアタックラップに入った。
Q3では全マシンが、ラストアタックで飛躍的にタイムを伸ばすこととなった。そんな中、本山も1’51.975とこの日のベストタイムを1秒以上更新する渾身のアタックを見せ、最終的に4位を獲得。23号車は決勝を、セカンドローからスタートすることとなった。
今季予選では、セカンドローより上を一度も逃していない23号車。今回の結果も23号車の速さからいえば、シリーズ最長の長丁場レース。ファンの初優勝への期待も、シリーズ最大であることは言うまでもない。
●本山 哲のコメント
「7月の鈴鹿のテストはドライで走れていないので、確かな手ごたえがあったというわけではなかったのですが、今日は持ち込みセットでの走り出しから調子が良く、その後も走るたびに微調整を重ね、感触はますます良くなっていきました。セカンドローは良い位置だし、もちろん決勝でのチームのパフォーマンスにも自信があります。
明日は久しぶりの長いレース。自分もチームも、一瞬たりとも気を抜くことなく優勝を目指して戦い抜きます。皆さんも最後まで、応援よろしくお願いします!」
【決勝】
8月19日(日)天候:晴れ 路面:ドライ 気温:32℃ 路面温度:50℃(決勝開始時)
スーパーGT2012シリーズ、折り返し緒戦となる第5戦は鈴鹿サーキットで決勝の日を迎えた。今回も過去4戦と同様に、公式予選ではその速さを見せセカンドローの4番グリッドを獲得した23号車「MOTUL AUTECH GT-R」。
しかし4年ぶりとなるこの日の1000kmレースはそこから、決して想定通りの展開とはならない。勝負は、いかなる状況が訪れようともその都度的確に判断し臨機応変な戦略が組めるかどうかにかかっている。
マシンの進化については徐々に、その手ごたえを掴み始めている。あとは本来のチーム力をレースで存分に発揮することができれば、おのずと結果はついてくるはずである。
午後12時30分、フォーメーションラップを終えると、173周にわたる長丁場のレースは静かに幕を開けた。スタート直後の混乱は全くなく、オープニングラップの1コーナーはグリッド順に通過。
ところがその後は、予想外の猛暑と舗装が新しくなった西コース路面のミューの高さにより、タイヤアクシデントやドライビングミスによる接触が相次ぎ、終始波乱の展開。トップは序盤から目まぐるしく入れ替わる。
その争いの中の一台が、23号車であった。
23号車のスタートドライバーをつとめる本山哲は序盤、4位をキープ。15周目を過ぎたあたりからペースを上げ、3位を追い始める。ところがその数周後、突如マシンのパフォーマンスを失いはじめ逆に4位を守る展開に変わる。
23号車は26周目、早目のピットインを行い、フレッシュタイヤとともにミハエル・クルムをコースに送り出した。
全てのマシンが1回目のピットインを終えると23号車は5位。その後、46周目に3位まで浮上するとさらにペースアップし、2位とのタイム差を詰めていく。そして59周目に2度目のピットインで本山が再びコースインすると67周目、大きなクラッシュが発生しセーフティカーが導入。
上位は23号車以外ピットインしておらず、このセーフティカーは23号車に有利な展開をもたらした。
71周目に2位、77周目にはトップに浮上した23号車だったが、この後GT300クラスマシンとの接触というアクシデントに見舞われることになり、イレギュラーのピットインを余儀なくされる。だが、そこから本山は踏ん張り、95周目には再び2位に浮上。
その後112周目からクルム、141周目から本山と、二人のドライバーは2位を守り続けた。
レースは終盤に入り152周目、全てのマシンが最後のピットインを済ませた時点で23号車は2位をキープしていた。ところが157周目に2度目のセーフティカーが入ると、そのリスタートで激しい2位争いが勃発。そして迎えた162周目、シケインでまだフレッシュなタイヤを履いていた後続のマシンからの追撃を受け5位に後退。
2度目のセーフティカーは不利に働くこととなった。しかしこの5位を残り周回しっかりと守り、23号車は173周のレースを5位でフィニッシュ。6ポイントを獲得した。
目標の初優勝は今回もならなかったが、ランキング上位のチームがいずれもポイントを獲りこぼしたことで逆にトップとの点差が詰まったことは幸いだった。残るは3戦、その全てで本来の力を結果に結びつけることができれば、23号車の逆転タイトルは可能。
そんなファンの願いがチームの闘志に火がつけ、今後よりいっそうの力を生みだすことだろう。
●本山 哲のコメント
「1000kmという長い距離の途中、スティントの後半で予想外にタイヤが苦しかったり、接触があったり、さらに2度のセーフティカーがあったりと、様々なアクシデントが起こったレースでしたが、そんな中でもマシンの状態は良く、終盤まで表彰台圏内を走っていながら最後に失ってしまったことが非常に残念でなりません。
でも幸いトップとのポイントは詰まったので、残る3戦、表彰台を決して逃さない戦いをしていきたいと思います。今日は暑い中、長時間の応援ありがとうございました。残る3戦も応援よろしくお願いします!」
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