RD4菅生 レースレポート
スーパーGT2012シリーズは第4戦を迎え、折り返しにさしかかった。
タイトル奪回を誓い、挑んだ今シーズン。23号車「MOTUL AUTECH GT-R」はここまでタイトル候補にふさわしい速さを見せながらも結果は3位表彰台が一度、ポイントランキングも5位と、いまひとつ波に乗れないでいる。
前半戦最後のこの一戦では何としても好成績をおさめ、タイトル戦線に浮上した上で後半戦に臨みたいところ。その意味では、スポーツランドSUGOは格好の舞台だといえた。かつてSUGOは日産勢の勝利がなく鬼門とされていたが、2009年以降は3戦2勝と、むしろ得意としている。そして2009年に鬼門を打ち破ったのが、この23号車だった。今年も、起死回生となる場はこのSUGOに違いないと、誰もが期待を寄せた。
【予選】
7月28日(土)天候:晴れ 路面:ドライ 気温:32℃ 路面温度:42℃(スーパーラップ開始時)
この日はまず8時15分から、1時間40分の混走と10分間の専有による公式練習が行われた。23号車は本山哲とミハエル・クルム、二人のドライバーが代わる代わるドライブし、セッティングメニューを順調にこなしていく。
ラップタイムも終始トップ5圏内で推移し、最後の専有でクルムがマークした1’16.100は最終的に4位。まずまずの滑り出しとした。
午後になり気温、路面温度が急激に上がってきた中、予選1回目は午後1時5分より15分間で行われた。スーパーラップ予選のレギュレーションは今年から変更となっており、予選1とスーパーラップで異なるドライバーが一人ずつ出走しなければならない。23号車は予選1で、ミハエ・クルムを起用した。
路面温度が思いのほか上がってしまったことでセッション開始から各チームはすぐには動き出さず、5分を過ぎたあたりから1台、また1台と徐々にコースインをはじめる。その中23号車は、全体の2番目にアタック開始。クルムは2周のアタックを行い1’15.537までタイムを伸ばすと、ここでスーパーラップ進出を確信しピットイン。最終的に3位となり、本山のスーパーラップに託した。
約2時間のインターバルを経て午後3時30分より、スーパーラップが開始された。23号車の本山は、8番目に出走。路面温度が下がり始めアジャストが難しくなったためか、3番手にアタックしたマシンのタイムが更新されないまま本山の出番を迎えることとなった。そして本山はここで、懇親のアタック。アウトラップで入念にタイヤを温めると、アグレッシブかつ正確にコーナーを攻めていく。
セクター1でコンマ1秒ほどベストタイムを上回ると、セクター2ではさらにコンマ2秒、トータルでコンマ3秒上回る1’15.191を叩き出しトップに浮上。最後のアタッカーに惜しくも更新されたが、23号車は最終的に2番手を獲得。レースは今季初の、フロントローからスタートすることとなった。
●本山 哲のコメント
「朝の練習走行から車の調子は良かったのですが、スーパーラップの時のマシンパフォーマンスは特に良くて、またアタック自体も満足のいくものでした。アタック後はポールが獲れたかな、と思ったのですが、残念でした。でもこのSUGOはコース幅が狭く抜きにくいし、中団からスタートすると混乱に巻き込まれやすい。フロントローからスタートできることになり、良かったと思います。レースは前半戦の締めくくりとして絶対に優勝して、後半戦でタイトル争いにからんでいきたいと思います。」
【決勝】
7月29日(日)天候:晴れ 路面:ドライ 気温:32℃ 路面温度:2℃(決勝開始時)
前半戦を締めくくるこの一戦、現在ランキング5位の23号車「MOTUL AUTECH GT-R」としては、タイトル奪回への足がかりとするために何としても勝利が欲しいほしいところである。2009年に勝利し翌年も圧倒的な速さを見せたこのSUGOは、相性抜群。さらに前日の公式予選ではフロントローの2番手という、絶好のポジションを獲得している。
この日の朝のフリー走行でも決勝に向けセットアップを煮詰め、ロングランとピットインのリハーサルを行い、万全の臨戦態勢を整えていた。
前日に続きこの日も晴天となった。12時頃に一時的に雨が降ったものの、決勝がスタートする2時間後には、路面は完全にドライに回復。不安材料はなくなった。フォーメーションラップを終え、定刻通りにレースはスタート。23号車のスタートドライバーは、本山哲がつとめた。
そしてスタートでポールのマシンがやや出遅れ、23号車は早くもトップ浮上への絶好のチャンスを迎えた。
好スタートを切った本山は、アウト側に出て半身ほどのリードを奪うと1コーナーで内側に切り込んでいく。そして鮮やかにトップを奪取……誰の目にもその展開が見えた瞬間の出来事だった。本山から死角となる部分、出遅れたポールのマシンのイン側からは3番手スタートのマシンが同じくオーバーテイクを仕掛けており、このマシンが前に出ようとした際にポールのマシンと接触。
バランスを崩したマシンが突如サイドに現れ、23号車は巻き添えを喰らうかたちとなりグラベルまで弾き飛ばされてしまった。
トップ浮上を目前にして逆に、大きく後退を余儀なくされた23号車だったが、レースはまだ81周残っている。コースに戻ることさえできれば、挽回は不可能なことではない。本山はグラベルでもがき、なんとかコースに復帰する。しかしダメージは大きく、マシンをピットに戻すことはかなわなかった。23号車はここでリタイヤとなってしまった。
練習走行、公式予選、フリー走行と、今季初優勝に向かいほぼ完璧な週末を送ってきた23号車だったが、レースでのアクシデントだけは避けることができなかった。結果は今季初の無得点。ランキングも5位からさらに後退することになった。シーズンはここで折り返しとなり、残る戦いは4つ。
23号車が後半戦でどのような戦いを繰り広げて行くのか、チームの結束がなければ勝てない次戦の鈴鹿1000kmは、それを量る格好の舞台といえるのではないだろうか。
●本山 哲のコメント
「今回はマシンの調子も非常に良く、SUGOということで重要なグリッド順もいいポジションだったのでなんとしても優勝したいと思っていたのですが、アクシデントでレースを失ってしまったことは最も残念な結果。
応援してくれていたファンの皆さんに、ちゃんとしたレースを見せることができなかったことを申し訳なく思います。これでシーズンは残り半分となってしまいましたが、チームはもちろん次の鈴鹿でも優勝するつもりで臨みます。タイトルもまだまだ狙っていきます。後半戦も応援、よろしくお願いします!」