10月2日(日)天候:曇り 路面:ドライ 気温:17℃ 路面温度:22℃(決勝開始時)
スーパーGT2011年シーズンのセミファイナルとなる第7戦、決勝が九州のオートポリスで行なわれた。前日の秋晴れからこの日は一転、曇り空となったが、2年ぶりの開催を楽しみにしていた大勢のファンが、スタンドを埋め尽くした。
2戦を残した時点でランキングトップに大差をつけられている23号車「MOTUL AUTECH GT-R」だが、抜群の相性を誇るこのオートポリスにファンの希望は繋がれていた。ところが、前日の予選でアタックを失敗しグリッドは12番手。大きなチャンスであったはずが劣勢からのスタートとなり、ファンの期待は不安へと変わる。決勝前のフリー走行も、ベストタイムは11位に留まった。ここまで予選が下位であってもレースで挽回してきた23号車ではあったが、タイトルの権利を残すための今回の条件は〝優勝〟。抜きにくいオートポリスで12位からその位置にまで浮上することは、至難の業だと言わざるを得なかった。
ところがその不安はレースがスタートした直後に、再び強い期待へと姿を変えた。それは今回23号車のスタートドライバーをつとめる本山哲の、見事な走りによるものであった。
午後2時、定刻どおりにレースは開始。「予選は失敗したが今回のマシンパフォーマンスには確かな手ごたえがあった」という本山はスタート直後の1、2コーナーで早くも一台をかわすと、その後はしばらく11位をキープ。そしてタイヤが充分に温まった5周目以降、怒涛のオーバーテイクショーを繰り広げる。5周目に10位とすると、7周目には一気に2台をパスし8位。さらに翌周にも2台をパスし6位。その後も毎周順位を上げると11周目には表彰台圏内の3位にまで浮上する。快進撃はこれで終わりではなかった。この時点で2位とは8秒ほどの差があったが、徐々にその差を詰めていくと20周目に背後まで迫り、22周の1コーナーでパス。さらに猛然とトップに迫り、コーナーの度にオーバーテイクを仕掛けていく。そして26周目に第2ヘアピンで果敢にインをつき、とうとうトップに上りつめるのである。アクシデントによる順位浮上は一切なく、本山はすべてコース上のオーバーテイクによる11台抜きという、偉業を成した。
そして後半、トップでバトンを受けたブノワ・トレルイエもまた、本山同様に素晴らしい走りを見せる。27周目、同時ピットインで2位に間一髪かわされ、またアウトラップではタイヤがまだ温まっていない状況で仕掛けられ一時3位にまで後退するが、タイヤが温まってからはペースを取り戻し、30周目に2位に浮上すると32周目には再びトップへと返り咲く。
その後は2位に5~6秒差を常に築くという安定した走りで54周を走破。本山、ブノワ、2人のドライバーによる最高のパフォーマンスは、今季2度目の頂点へとチームを導いた。
シーズンはこれで最終戦を残すのみ。この日2位に入ったランキングトップとのポイント差は16とまだ大きく、依然逆転タイトルは難しい状況である。だがこの土壇場の一戦で23号車の本当の底力を知ったファンの期待が褪せることはないだろう。
本山 哲のコメント
「優勝まで届くというところまでは考えていませんでしたが、予選は失敗したものの昨日から手ごたえはありました。その通りに今日は、シャーシもエンジンもタイヤも非常にいい状態でした。またレース戦略は、前半セーブで後半ブノワの速さで抜いていくというイメージだったのですが、チャンスがあったので前半から抜いて行くことが出来ました。
ここまで苦しい状況が続いていて、なんとしても勝ちたいという強い気持ちがあったので、今日の勝利は非常に嬉しいです。タイトルの権利を残して最終戦に臨むことが出来て良かったと思います。今回、とても多くのファンの人たちがサーキットやテレビで応援してくれたパワーがあってこその勝利です。本当にありがとう御座いました!
最終戦ももちろん優勝、そして最後までタイトルを諦めるつもりは有りません。
来週末に迫った最後の一戦ですが、日本全国から皆さんの熱い声援をよろしくお願いします!」
S-GT RD7 AP決勝レポート
- 詳細
2011スーパーGT RD7 S-GT in KYUSHU 250KM RACE決勝レポート