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フジ スプリントカップ決勝レポート
11月14日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ 気温:15℃ 路面温度:19℃(決勝スタート時)
11月12日の金曜日から3日間のスケジュールで開催されるSUPER GT特別戦「SUPER GT Special Round・JAF-GP 富士スプリントカップ」もいよいよ最終日を迎え、午後3時10分に第2レースのスタートが切られた。この日は厚い雲が空を覆う天候となり、前日の第一レースとほぼ同じ時間帯ながら気温、路面温度ともに低く、タイヤとマシン、そして路面とのマッチングが気になるところだった。本山哲がドライブする23号車「MOTUL AUTECH GT-R」は、予選を不本意な結果で終えることになった。しかし前日の第一レースでブノワ・トレルイエが12番グリッドから5位まで追い上げたように、この第二レースでも9番手グリッドからの追い上げが期待されている。これはチームのみならず、スタンドを埋めた大観衆や日産ファン、そして本山ファンの一致した“想い”だった。
そんな“想い”に後押しされる格好で決勝に臨んだ本山だったが、クラッチにややトラブルがあったこともあり、スタートでは僅かにホイールスピンさせてしまいジャンプアップは適わず。ひとつだけポジションダウンしてオープニングラップを終えることになる。そして、そこからの追い上げが期待されるも序盤はタイムが伸びず、我慢の走行を強いられることになった。傷めていたクラッチの症状が、熱を持ったことで少し悪化していたのだ。ところがここから、本山のベテランとしての本領が発揮される。あえて無理をせず、クラッチを労わりながら我慢の走行を続けた本山。その甲斐あってクラッチはクールダウンされ、中盤以降はトラブルも問題にならないレベルに収まることになった。
ペースアップを決断した本山は前を行くマシンに照準を合わせると、じわじわと近づいていく。9周目には一気に2台のオーバーテイクに成功。しかしその後、一度抜いたマシンから猛反撃を受けることになる。また、このバトルでタイヤがグリップダウン。再逆転を許してしまった。だがもちろん最後まで諦めることなく猛プッシュ。迎えたファイナルラップには目前を走るマシンにハプニングが起きたことで順位を上げ、本山は7位でチェッカーを受ける。さらにレース後、前でチェッカーを受けたマシンにペナルティが課され、6位でシーズン最後のレースを終えることになった。
シーズン未勝利に加え、この特別戦でも不本意な結果に終わった23号車。しかし新エンジンとミシュランタイヤの新パッケージは、一年の時を経て熟成に向かっていることは間違いない。シーズンオフが明ける来年3月には、タイトル奪回のための強力な武器となっていることだろう。
本山選手のコメント
「今日は厳しいレースになりました。スタートで少しホイールスピンさせてしまい、また序盤はクラッチが滑るトラブルに悩まされました。でも、そこで無理をするより、何とか労わって走った方がいいだろうと判断しました。結果的にはこれが正解だったようで、クールダウンしたおかげで中盤以降はクラッチの滑りもあまり気にならないレベルになって、ペースを上げることができました。そこから先はじわじわ追い上げて行ったのですが、ラインを外したときにタイヤカスを拾ったみたいで……でも、それでも諦めることなく走り続けた結果、6位に入賞することができました。もちろん満足できる結果ではないのですが、トラブルやハプニングが続出したことを考えれば、まずまずの結果でシーズンを終えることが出来たと思っています。今季は未勝利に終わってしまいましたが、来季は開幕から、速さと強さを発揮できるよう頑張ります。ファンの皆さんの1年間の声援に感謝するとともに、来シーズンも応援よろしくお願いします!」
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フジ スプリントカップ予選レポート
11月12日(金) 天候:晴れ 路面:ドライ 気温:16℃ 路面温度:24℃(予選開始時)
3週間前に2010年シリーズが終幕、一息ついた格好のスーパーGTだが、戦いはまだ終わらない。モータースポーツシーズンを締めくくるイベントとして、フォーミュラ・ニッポンとの史上初同時開催「SUPER GT Special Round・JAF-GP 富士スプリントカップ」が行なわれた。シーズン序盤こそ不運な展開に泣かされてきた23号車「MOTUL AUTECH GT-R」だが、セパン・ラウンドで覚醒したかのようにフロントローからスタートし2位表彰台を獲得して以降、速さを取り戻したのは明らか。続くSUGOでも思わぬハプニングで後退したが、レースの大半を支配する速さ&強さは誰もが認めるところである。
そんなシーズンに有終の美を飾るべく、チームはモチベーションを高めてサーキット入りした。通常のシリーズ戦は2人のドライバーがレースの途中で交代するセミ耐久レースだが、今回はレース距離にして約100kmのスプリントを2本戦うというもの。金曜日に2レース分の予選が行なわれ、土曜日と日曜日にそれぞれ、2人のドライバーが1回ずつレースを戦う、というスタイルになっている。
大会初日となる11月12日には、午前中に50分間の公式練習が行われ、その後、20分ずつの公式予選セッションが行われた。23号車「MOTUL AUTECH GT-R」は、土曜日の決勝レース(Race1)がブノワ・トレルイエ、日曜日の決勝レース(Race2)には本山哲という布陣で挑む。この日の予選は最初のセッションをブノワ、2回目のセッションに本山が挑んだ。
早朝から晴天に恵まれていたものの、吹く風は肌を刺すほどで、気温、路面温度ともに予想していたほどには上昇せず、23号車は出だしから苦戦を強いられることになった。走り始めの練習走行ではトップから1.3秒差の11番手と大きく出遅れ、ブノワが出走した1回目の公式予選でもトップとのタイム差は約1秒もあった。ここでチームではセッティングを変更することを決意。その甲斐あって、本山が担当した2回目のセッションでは、トップとのタイム差をコンマ4秒にまで詰めることに成功する。まだまだセッティングは満足出来るレベルまでには至っていないが、2回目のセッションでは急激に路面温度が低下、ライバルがタイヤを上手く温められずに苦労する中、本山がベテランの技を駆使してタイヤを効果的に温めたことも手伝い、上位とのタイム差を縮めることが出来たのである結果的に土曜日のブノワは12番手グリッドから、日曜日の本山は9番手グリッドから、と後方からスタートすることになった。ただ、他のサーキットに比べれば比較的パッシングが容易な富士スピードウェイが舞台なだけに、決勝では2人が後方から、見事な追い上げを展開してくれることに期待したい。
本山選手のコメント
「予想していた以上に路面温度が低くて、正直苦戦しましたね。2回目の予選を前に、エンジニアと相談してセッティングを変更したんですが、満足できるレベルには至りませんでした。それでも2回目の予選では急に路面温度が下がったこともあって、他のマシンもタイヤを温め難かったようですね。僕は何とか温めることが出来たので、タイム差も少し縮めることが出来ましたが、もう少し(低い路面温度に)マシンをアジャストしていかないと……。でも富士は抜けないコースじゃないので、決勝では後方から追い上げて行きます。ファンの皆さんも23号車のオーバーテイクに期待して、応援してください!」