JAF GP FUJI SPRINT CUPレースレポート
11月12日(土)天候:晴れ 路面:セミウェット 気温:17℃ 路面温度:20℃(第2レース予選開始時)
昨年第一回目が行なわれ、シリーズ戦とは違った魅力がファンに受け入れられ大成功をおさめた「JAF-GP 富士スプリントカップ」。今年も大激戦となった2011年シーズンの終幕から3週間を経て、富士スピードウェイに再び各チームが集結した。
シリーズ戦では終盤、本来の力を発揮し快進撃を見せたものの惜しくもランキング2位で終えた23号車「MOTUL AUTECH GT-R」。2011年の有終の美は、このスプリントカップに託された。
今回も昨年同様、2度の100kmスプリントレースを2人のドライバーがそれぞれ戦うという方式。金曜日に2レース分の予選が行なわれ、土曜日に第1レース、日曜日に第2レースが行なわれる。23号車は第1レースにブノワ・トレルイエ、第2レースに本山哲をエントリーした。
最初の公式セッションは、金曜日の午前中に行われる1時間の公式練習。しかしこの日の富士はあいにくの雨に見舞われ、さらに開始時間が近づくにつれ雨脚は強まり路面コンディションは厳しい状況となり、開始からスピンを喫するマシンが続出。そんな中、23号車は2人のドライバーが着実に周回をこなし、ベストタイムはクラス2位をマーク。シリーズ終盤戦同様の好調をうかがわせた。
公式予選は午前よりやや雨脚が弱まった中、午後2時20分より第1レース予選から行われた。スプリントカップの予選は、20分間の間にマークした最速ラップタイム順というシンプルな形式である。23号車はブノワがまず第1レース予選に挑み、5位とまずまずのグリッドを獲得。約一時間後に行なわれる第2レース予選に向け、本山は臨戦態勢を整えた。
ところが第1レース予選の後半から再び脚を強めた雨はその後も勢いを止めず、路面に水が浮いてしまう状況となったため、開始予定の3時25分を迎えてもコースオープンとはならなかった。そして2度のディレイを経るも状況は回復せず、結局順延に。土曜日の早朝8時5分から15分間というスケジュールで行なわれることとなった第2レース予選は、雨は上がったが路面は濡れたままという、タイヤチョイスが難しい状況の下スタートした。
直前に行なわれたGT300クラスの予選でスリック勢が失敗に終わっていることから、GT500クラスは全車がウェットでコースイン。しかし路面は微妙に乾きはじめており、数周後にはピットインしドライに履き替えるマシンが現れ始める。ドライか、レインか、甲乙つけ難い状況での短いセッションは、各車に判断を迷わせた。タイミングを一歩間違えれば、ドライに替えたとしてもタイヤが温まらないまま終わってしまう可能性もある。23号車の本山はレインのままの走行を選択し、15分間を連続でアタック。終盤マークした1’44.098で5位に浮上するが、ラストアタックでライバルたちがタイムを延ばしてくる中本山は更新ならず。結局8位で第2レース予選を終えた。
11月13日(日)天候:晴れ 路面:ドライ 気温:20℃ 路面温度:23℃(第2レース予選開始時)
土曜日の午後に行なわれた第1レースでは、スプリントカップならではの激しいバトルにより他車がコース上に落としたパーツを拾いタイヤをパンクさせてしまったため、23号車のブノワは12位に終わってしまう。しかしタイヤ交換後の周回でファステストを連発したことでマシンの速さは証明され、第2レースの本山にかかる期待は大きかった。
好天となった日曜日、やや気温が下がり始めた午後3時25分に第2レースは開始された。
第2レースも第1レース同様、シーズン戦にはないスタンディングスタート、そして100kmという短いレース距離のため、序盤から非常に激しい接近戦の応酬。スタートから早速数台が接触、1コーナーから2コーナーにかけても混乱を極めた。そんな中、本山はベテランらしく落ち着いて混乱をかわし、2コーナーまでに早くも二つ順位を上げオープニングラップを6位で通過すると、翌周には5位に浮上。その後もトップ4台に喰らいついていく。そして、そのまましばらく5位をキープするが、8周目のダンロップコーナーで狙いを定めインをつくと、本山はいよいよ4位に浮上。トップとの差は数秒以内、シリーズ最終戦に続く優勝が視野に入る。
ところがここで、本山にドライブスルーペナルティが下ってしまう。これは、1周目1コーナーの混乱で起こった接触に対するものだった。これで一気に12位まで後退。残り11周で11位との差は約10秒、ここからの浮上は難しいと思われた。ところがここから本山は、脅威の追い上げを見せる。タイヤの磨耗が進んだこの時点で、どのマシンもマークできなかった1分35秒台を連発。11位との差は14周目には5秒、16周目には2秒。18周目にはとうとう追いつき11位浮上を果たす。そして、そのままレースは22周のチェッカーを迎え、23号車の本山は第2レースを11位でフィニッシュした。
シリーズ戦では2人のドライバーのコンビネーション、迅速なピット作業、的確な戦略・状況判断などチームの総合力で数々の勝利を奪ってきた23号車。このスプリントカップは23号車にとって、力をやや発揮しづらい大会だったともいえる。ただこの大会の2人のドライバーが垣間見せた速さがファンにとって、来年のシリーズ制覇に希望を繋ぐものとなったことは間違いない。
本山 哲のコメント
「シーズン戦の最後に2連勝したことで今回もファンの皆さんは23号車の優勝を信じて応援してくれていたと思いますが、2レースとも残念な結果に終わってしまいました。
実際マシンの速さもあったし、充分優勝が狙えた状態だったのですが、自分もブノワもこの大会らしい激しいバトルでのアクシデントで後退してしまうことになり、さらに22周のスプリントレースということで挽回のチャンスが残されていませんでした。
レース自体は見応えのある展開だったので、表彰台を楽しみにしていたファンの皆さんの期待に応える事が出来ず残念です!
2011年の戦いはこれで終わりになりましたが、チームはここからシーズンオフの間もマシン開発の他、来年の開幕戦に勝つための戦いを続けていきます。そして来年こそはタイトルを奪回して見せますので、引き続きアツい応援をよろしくお願いします!
今シーズン最後まで応援した頂いたファンの皆さんを始め、サポートして頂いたご関係企業の皆様全てに感謝いたします。
ありがとう御座いました。
本山 哲」