5月1日(日)天候:晴れ 路面:ウェット 気温:13℃ 路面温度:14℃(決勝開始時)
開幕戦の決勝を迎えた富士スピードウェイは予報通り、朝から雨に見舞われた。しかし、前日の予選では天候が急変した影響からか6番手に留まったものの、レースではそれを凌駕する自信を見せる23号車「MOTUL AUTECH GT-R」に不安はなかった。ウェットコンディションで行なわれた朝のフリー走行で本山哲、ブノワ・トレルイエの2人はしっかりと走り込み、また路面とタイヤの状況をチームはしっかりと把握し、決勝に臨んだ。
雨は午後になると一旦上がり、午後12時55分から行われた決勝前のウォームアップ走行時には路面もかなり乾き、ドライタイヤを試すチームもあった。しかしグリッドにつく頃になると再び厚い雲がサーキットを包み、大粒の雨を降らせた。
悪天候にもかかわらず訪れた36,000人のファンが見守る中、午後2時にフォーメーションラップが開始。序盤からやはり、レースは荒れた。
セーフティカーランが5周に渡り行われた後、6周目にレースがスタート。その直後から早速、雨に翻弄されるマシンが続出する。そして、タイヤ選択を外しペースが上がらないマシンやコーナーでスピンしてしまうマシンが続々と脱落していく中、唯一それをものともせず猛然とプッシュし、順位をどんどん上げて行ったのが23号車のスタートドライバー、ブノワだった。6周目で早くも4位まで順位を上げると、9周目にファステストを叩き出すなど、その後もペースを衰えさせることなく12周目には2位。さらにはトップのマシンにオーバーテイクを挑んでいく。また、雨量が増し視界が遮られるようになれば一旦引いて次のチャンスを待つなど、冷静さも失っていなかった。そして18周目、23号車はいよいよトップに立ち、そこから2位以下を引き離しにかかった。
その後2位とのマージンを10秒以上に広げた23号車は、44周目にピットイン。そして、ピット時間を短縮し、なおかつ冷えたタイヤでのロスをなくすためにタイヤ無交換作戦を敢行した上で、バトンは本山に渡される。前周にピットインを終えていた2位のマシンも同様の作戦を採っており、23号車よりピットストップ時間が短かったことでマージンはやや縮まることになったが、そんな時こそ歴戦の兵である本山は真骨頂を発揮。磨耗の進んだタイヤで、実に巧みなマシンコントロールを見せる。
その後雨が激しさを増したことでさらなる過酷なドライビングを余儀なくされるも、更に雨足が強まった60周目にレース続行が不可能となり赤旗終了となるまでしっかりとトップを守りきり、23号車は見事に開幕戦勝利を手にした。
マシンセッティング、タイヤチョイス、ピットイン、そしてドライビングと、15台中唯一ミスがなかったことが勝因となったこの一戦。サバイバルレースを制したことで、23号車チーム力の高さが改めて証明されることとなった。タイトル奪還に向け最高のスタートを切ったというだけでなく、その可能性を色濃くした一戦であったといえる。
本山 哲のコメント
「すごくうれしいです! いい車を作ってくれただけでなく、コンディションに対し勝てる準備をちゃんとやって、いい判断をしてくれたチームみんなのおかげだと思います。また、前半のブノワの走りも素晴らしかった。自分のスティントもヘビーレインで厳しい状況でしたが、とにかく前向きに、この状況を楽しんで走るよう心がけていました。このコンディションになったことで6番手からでもうちのチーム力だったらチャンスがあると思っていたし、昨年勝てなかったことで今年は『最低2回勝って、タイトルを獲る』と強い意志をチームみんなが持って開幕戦に臨んだことが結果に結びついたのだと思います。第2戦でももちろん優勝を狙いますので、皆さん、応援よろしくお願いします!」