S-GT RD8決勝レポート
10月24日(日) 天候:曇り 路面:ドライ 気温:19℃ 路面温度:21℃(決勝開始時)
長きにわたり熱戦が繰り広げられてきたスーパーGT2010年シリーズは、最終決戦の時を迎えた。タイトル争いもここでいよいよ、雌雄が決せられることになる。またタイトル争いの渦中にないチームにとってもこの最終戦は、今季の集大成としてチームの総力を尽くし優勝を獲りに行く場である。さらには昨年のルール改正で、全車ノーハンデという演出も加わった。シーズンで最もスリリングな戦いとなるであろう期待を胸に、舞台となるツインリンクもてぎには朝から、3万2千人の観客が詰め掛けた。
タイトルへのかすかな望みと今季初優勝に向け、23号車「MOTUL AUTECH GT-R」もまた、ラストチャンスとなるレースに9番グリッドから挑む。朝のフリー走行では3番手のタイムをマークし、その期待はやや上向いていた。
曇り空の下、午後2時、いよいよシーズンラストバトルの火蓋が切られる。レースは序盤から、トップ争いのみならず随所でバトルが展開されるという、最終戦らしい、また国内最高峰らしい、非常に見ごたえのあるものとなった。その主役の一人が23号車だった。23号車スタートドライバー、ブノワ・トレルイエはスタートから猛プッシュ。オープニングラップで早くもひとつ順位を上げると、その後次々とオーバーテイクを仕掛け5位に浮上。さらに11周目には4位。瞬く間に表彰台圏内へと近づいていく。その後も4~5位の中で一進一退の攻防を続け、28周目にピットイン。後半は本山哲に託された。
今季最後のピット作業も完璧に決めた23号車。本山は、ピットイン前にかわされていた35号車の前に出ることに成功する。しかし路面温度が低いこともありすぐにタイヤは温まらず、オーバーテイクを許すことになる。それでも後半を6位からスタートさせると、残り25周、再び表彰台圏内に向かって本山はプッシュした。
そして順位をキープしつつチャンスを待ったが、レース後半は、路面温度が下がってきた事と、コース上のダストによりペースを思うように上げることが出来ない。さらに43周目には、後続とGT300クラスのマシン複数台がコーナーで絡んでしまう状況となり、接触してしまい2つ順位を落としてしまう。ここから残りは約10周。順位の大幅アップはもはや不可能となったが、あきらめることなく本山はプッシュを続けた。しかし順位を上げることはかなわず、23号車は52周のチェッカーを8位で受けた。
新エンジン、ミシュランタイヤという新たなパッケージで挑んだ23号車の2010年シーズン。序盤の不振から急激に戦力を上げていった中盤、一時はタイトル奪還への希望の灯をともしたが、度重なるアクシデントなどの影響もあり、その目標は達せられなかった。そればかりか、シーズン未勝利という屈辱。2011年シーズンはこの屈辱をバネにし、さらなる強さを見につけた23号車に期待がかかる。
本山選手のコメント
「今シーズンは、序盤はなかなか調子が上がらず、また調子の上がった中盤戦でも勝てそうなレースで勝つことが出来なかったり、応援してくれる方々にとっては終始、フラストレーションが溜まる展開だったと思います。しかしドライバーもチームも、すべての戦いでその応援に報いるために、精一杯戦ってきました。昨年タイトルを失い、今季はそれを奪還するためのシーズンでした。その使命は来年、必ず果たしたいと思います。シーズンオフの間もチーム一丸となって、努力し続けます。さらにパワーアップした23号車に期待して、来年もぜひ応戦してください!」