フジ スプリントカップ予選レポート
11月12日(金) 天候:晴れ 路面:ドライ 気温:16℃ 路面温度:24℃(予選開始時)
3週間前に2010年シリーズが終幕、一息ついた格好のスーパーGTだが、戦いはまだ終わらない。モータースポーツシーズンを締めくくるイベントとして、フォーミュラ・ニッポンとの史上初同時開催「SUPER GT Special Round・JAF-GP 富士スプリントカップ」が行なわれた。シーズン序盤こそ不運な展開に泣かされてきた23号車「MOTUL AUTECH GT-R」だが、セパン・ラウンドで覚醒したかのようにフロントローからスタートし2位表彰台を獲得して以降、速さを取り戻したのは明らか。続くSUGOでも思わぬハプニングで後退したが、レースの大半を支配する速さ&強さは誰もが認めるところである。
そんなシーズンに有終の美を飾るべく、チームはモチベーションを高めてサーキット入りした。通常のシリーズ戦は2人のドライバーがレースの途中で交代するセミ耐久レースだが、今回はレース距離にして約100kmのスプリントを2本戦うというもの。金曜日に2レース分の予選が行なわれ、土曜日と日曜日にそれぞれ、2人のドライバーが1回ずつレースを戦う、というスタイルになっている。
大会初日となる11月12日には、午前中に50分間の公式練習が行われ、その後、20分ずつの公式予選セッションが行われた。23号車「MOTUL AUTECH GT-R」は、土曜日の決勝レース(Race1)がブノワ・トレルイエ、日曜日の決勝レース(Race2)には本山哲という布陣で挑む。この日の予選は最初のセッションをブノワ、2回目のセッションに本山が挑んだ。
早朝から晴天に恵まれていたものの、吹く風は肌を刺すほどで、気温、路面温度ともに予想していたほどには上昇せず、23号車は出だしから苦戦を強いられることになった。走り始めの練習走行ではトップから1.3秒差の11番手と大きく出遅れ、ブノワが出走した1回目の公式予選でもトップとのタイム差は約1秒もあった。ここでチームではセッティングを変更することを決意。その甲斐あって、本山が担当した2回目のセッションでは、トップとのタイム差をコンマ4秒にまで詰めることに成功する。まだまだセッティングは満足出来るレベルまでには至っていないが、2回目のセッションでは急激に路面温度が低下、ライバルがタイヤを上手く温められずに苦労する中、本山がベテランの技を駆使してタイヤを効果的に温めたことも手伝い、上位とのタイム差を縮めることが出来たのである結果的に土曜日のブノワは12番手グリッドから、日曜日の本山は9番手グリッドから、と後方からスタートすることになった。ただ、他のサーキットに比べれば比較的パッシングが容易な富士スピードウェイが舞台なだけに、決勝では2人が後方から、見事な追い上げを展開してくれることに期待したい。
本山選手のコメント
「予想していた以上に路面温度が低くて、正直苦戦しましたね。2回目の予選を前に、エンジニアと相談してセッティングを変更したんですが、満足できるレベルには至りませんでした。それでも2回目の予選では急に路面温度が下がったこともあって、他のマシンもタイヤを温め難かったようですね。僕は何とか温めることが出来たので、タイム差も少し縮めることが出来ましたが、もう少し(低い路面温度に)マシンをアジャストしていかないと……。でも富士は抜けないコースじゃないので、決勝では後方から追い上げて行きます。ファンの皆さんも23号車のオーバーテイクに期待して、応援してください!」